超高齢化社会を乗り越えるための地域包括ケア
高齢化社会の進行
日本人の平均寿命は伸び続けており、高齢者世代の人口の割合が大きくなった日本は過去に経験のない超高齢化社会へと突入していきます。日本の人口構成比は2012年時点で、65歳以上の高齢者1人に対して働く世代の20歳〜64歳の割合は約2.4人となっています。そのため働く世代12人で高齢者5人の生活を支えていると言えます。しかし、政府の推計では2020年ではさらに高齢者の割合が増えるため、この割合が1:1にまでなると予想されています。
こういった現状から問題になってくることとして、介護ケアや医療ケアの供給不足の問題、そして実情に見合わない医療サービスと介護サービスの問題があります。こうした今後問題になってくる課題に関する解決案となるのが、厚生労働省の提案である地域包括ケアシステムの推進です。
地域包括ケアシステムとは
地域包括ケアシステムは国がベースとなって取り組む姿勢はもちろん今後も必要ですが、自治体ベースの割合も大きくして取り組んでいくものになります。最大のポイントとして、高齢者が住み慣れた地域でサービスを受けられるように市町村が中心となって動くことで、より高齢者にとって生活をしやすい環境を作っていくことです。
これまで国がベースとなって動いていたものを市町村ベースで動くことによって、それぞれの地域にマッチするケアシステムの構成が見込まれます。この地域包括ケアシステムは現在、2025年までに確立しようと3年ごとに各自治体で介護保険事業計画の策定と実施が進められています。
施設ではなく在宅で
地域包括ケアシステムの大きな方針に重度の要介護者となってもなるべく長く住み慣れた地域で暮らすことがありますので、ケアの場を施設から住宅へと移行していくことが進められています。現状として特別養護老人ホームの需要は年々高まっており、施設に入所して介護ケアを供給することが難しくなってきている問題があります。この対応策として鍵を握るのが在宅ケアであり、地域包括ケアシステムでは介護ケアを施設で完結させるのではなく自宅で暮らすことができるように、地域で介護ケアを完結させられるように移行していくことが狙いでもあります。
高齢者の在宅での生活を支援するための「小規模多機能型」のサービスと「訪問介護」のサービスが一体となって運営ができる複合型サービスの構築がすでに進められています。介護だけではなく、医療現場でも地域包括ケア病棟が新設され、在宅復帰に向けて医療ケアやリハビリが進んでいます。